科学ニュース+板 (35/281)
1:● ◆SWAKITIxxM @すわきちφφ ★ 2011/09/26(月) 15:25:46.11 ID:??? BE:2013396487-2BP(1056) << 10 165
◆ニュートリノ:「衝撃的な結果」名大准教授ら講演(毎日)
光の速さより速く飛ぶ素粒子の一種、ニュートリノを観測したとする欧州研究機関の研究発表について、研究チームに参加する名古屋大教養教育院の小松雅宏准教授らが26日、同大(名古屋市)でセミナーを開催した。多くの研究者や報道陣が詰めかけ、現代物理学の前提を覆すかもしれない研究内容に聴き入った。
セミナーのタイトルは「OPERA実験におけるニュートリノ速度の測定」。小松准教授は、スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究所(CERN)の実験にメンバーの一員として加わった。発表によると、ニュートリノを加速器で打ち出し、約730キロ離れたイタリアの地下研究所で観測したところ、光より60ナノ秒(1ナノ秒は10億分の1秒)だけ速く到達していることが確認されたとしている。研究には、国内の専門家を含む11カ国30機関の160人が参加。1万5000回に及ぶ観測データ解析の結果、誤差を考慮しても光より速く飛んでいると23日に公表された。
アインシュタインの特殊相対性理論では、質量を持った物質が光速を超えることはないとされる。今回の研究チームも物理学的な解釈を回避し、学会による精査を求めている。小松准教授はセミナーの冒頭、今後の検証課題となる誤差について、スイスの国土地理院などの協力で距離の検証を重ねてきたことを強調。「衝撃的な結果であり、人為的なエラーも徹底的に排除している」と強調した。
セミナー後の質疑応答で、名大素粒子宇宙起源研究機構の中村光広准教授も「(実験結果には)物理学者として抵抗はあったが、何度も検証して観測結果には間違いないので、発表することにした」と話した。【山田一晶、安達一正】
毎日jp
http://mainichi.jp/select/science/news/20110926k0000e040079000c.html
◆光より速いニュートリノ「成果は副産物」 名古屋大チームが報告(産経)
素粒子ニュートリノが光よりも速く飛ぶとする観測について、実験に参加する名古屋大チームが26日、同大で開かれたセミナーで実験結果を報告した。小松雅宏准教授は「実験の目的は別にあり、今回の成果は副産物だった」と、結果が得られたまでの経緯を明らかにした。
実験はもともと「ミュー型」のニュートリノが飛行中に「タウ型」になってしまう"変身"を捉えるのが目的。データを解析していたフランスのチームが「何か結果がおかしい」と言い出し、速度を測ることにした。速度の測定は想定していなかったため、距離の測量はイタリア、時計合わせはスイスの専門家の力を借りた。小松准教授は「単純な実験だが、測定精度を上げるのが難しかった」と振り返った。
チームは、スイス・フランス国境にある欧州合同原子核研究所の加速器から、ニュートリノを約730キロ離れたイタリアの研究所に設けた検出器に向けて発射、速度を算出した。
msn.(産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/science/news/110926/scn11092611480003-n1.htm
名古屋大学プレスリリース高エネルギーのミュー型ニュートリノの速さを世界最高精度で精密に測定
http://flab.phys.nagoya-u.ac.jp/2011/wp-content/uploads/2011/09/PressReleaseJPlast20110923.pdf
名古屋大学>F研 基本粒子研究室長基線ニュートリノ振動実験OPERA
http://flab.phys.nagoya-u.ac.jp/2011/experiment/opera/
OPERA
http://operaweb.lngs.infn.it/?lang=en
CERN>ReleasesOPERA experiment reports anomaly in flight time of neutrinos from CERN to Gran Sasso
http://press.web.cern.ch/press/PressReleases/Releases2011/PR19.11E.html
光の速さより速く飛ぶ素粒子の一種、ニュートリノを観測したとする欧州研究機関の研究発表について、研究チームに参加する名古屋大教養教育院の小松雅宏准教授らが26日、同大(名古屋市)でセミナーを開催した。多くの研究者や報道陣が詰めかけ、現代物理学の前提を覆すかもしれない研究内容に聴き入った。
セミナーのタイトルは「OPERA実験におけるニュートリノ速度の測定」。小松准教授は、スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究所(CERN)の実験にメンバーの一員として加わった。発表によると、ニュートリノを加速器で打ち出し、約730キロ離れたイタリアの地下研究所で観測したところ、光より60ナノ秒(1ナノ秒は10億分の1秒)だけ速く到達していることが確認されたとしている。研究には、国内の専門家を含む11カ国30機関の160人が参加。1万5000回に及ぶ観測データ解析の結果、誤差を考慮しても光より速く飛んでいると23日に公表された。
アインシュタインの特殊相対性理論では、質量を持った物質が光速を超えることはないとされる。今回の研究チームも物理学的な解釈を回避し、学会による精査を求めている。小松准教授はセミナーの冒頭、今後の検証課題となる誤差について、スイスの国土地理院などの協力で距離の検証を重ねてきたことを強調。「衝撃的な結果であり、人為的なエラーも徹底的に排除している」と強調した。
セミナー後の質疑応答で、名大素粒子宇宙起源研究機構の中村光広准教授も「(実験結果には)物理学者として抵抗はあったが、何度も検証して観測結果には間違いないので、発表することにした」と話した。【山田一晶、安達一正】
毎日jp
http://mainichi.jp/select/science/news/20110926k0000e040079000c.html
◆光より速いニュートリノ「成果は副産物」 名古屋大チームが報告(産経)
素粒子ニュートリノが光よりも速く飛ぶとする観測について、実験に参加する名古屋大チームが26日、同大で開かれたセミナーで実験結果を報告した。小松雅宏准教授は「実験の目的は別にあり、今回の成果は副産物だった」と、結果が得られたまでの経緯を明らかにした。
実験はもともと「ミュー型」のニュートリノが飛行中に「タウ型」になってしまう"変身"を捉えるのが目的。データを解析していたフランスのチームが「何か結果がおかしい」と言い出し、速度を測ることにした。速度の測定は想定していなかったため、距離の測量はイタリア、時計合わせはスイスの専門家の力を借りた。小松准教授は「単純な実験だが、測定精度を上げるのが難しかった」と振り返った。
チームは、スイス・フランス国境にある欧州合同原子核研究所の加速器から、ニュートリノを約730キロ離れたイタリアの研究所に設けた検出器に向けて発射、速度を算出した。
msn.(産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/science/news/110926/scn11092611480003-n1.htm
名古屋大学プレスリリース高エネルギーのミュー型ニュートリノの速さを世界最高精度で精密に測定
http://flab.phys.nagoya-u.ac.jp/2011/wp-content/uploads/2011/09/PressReleaseJPlast20110923.pdf
名古屋大学>F研 基本粒子研究室長基線ニュートリノ振動実験OPERA
http://flab.phys.nagoya-u.ac.jp/2011/experiment/opera/
OPERA
http://operaweb.lngs.infn.it/?lang=en
CERN>ReleasesOPERA experiment reports anomaly in flight time of neutrinos from CERN to Gran Sasso
http://press.web.cern.ch/press/PressReleases/Releases2011/PR19.11E.html
8:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 15:37:52.91 ID:lCgMvxao
>>3
まぁスイスチームが頑張れば大筋問題ないだろうw
まぁスイスチームが頑張れば大筋問題ないだろうw
23:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 16:06:37.04 ID:4bHAtu4G
>>3
大丈夫、イタリア人でも5%は間違えないさ...21世紀だぜ、GPSも使える。
大丈夫、イタリア人でも5%は間違えないさ...21世紀だぜ、GPSも使える。
ここが詳しかった
http://journal.mycom.co.jp/articles/2011/09/25/neutrino/index.html
>トンネルの両側の入り口の位置をGPSで測定し、そこからはレーザ測距儀などを使ってOPERAの位置を求め、
>両者の距離は731278.0±0.2mという結果を得ている。
>セシウム原子時計でGPSからの時刻を補正するという方法を使い、1ns程度の精度で時刻を一致させるシステムを開発している。
>このシステムの精度についてはドイツの研究機関が独立に調査を行い、ずれは2.3±0.9nsという結果を得ているという。
>結果の整理には2006年の実験の時に得た機器の遅延時間を使い、最後に別途求めた2006年の機器の遅延時間の誤差を差し引くという方法を
>用いている。このようなブラインド解析を行うことにより、データの整理に結果の予断が影響を与えることを排除している。
あとはどこだろうねえ
http://journal.mycom.co.jp/articles/2011/09/25/neutrino/index.html
>トンネルの両側の入り口の位置をGPSで測定し、そこからはレーザ測距儀などを使ってOPERAの位置を求め、
>両者の距離は731278.0±0.2mという結果を得ている。
>セシウム原子時計でGPSからの時刻を補正するという方法を使い、1ns程度の精度で時刻を一致させるシステムを開発している。
>このシステムの精度についてはドイツの研究機関が独立に調査を行い、ずれは2.3±0.9nsという結果を得ているという。
>結果の整理には2006年の実験の時に得た機器の遅延時間を使い、最後に別途求めた2006年の機器の遅延時間の誤差を差し引くという方法を
>用いている。このようなブラインド解析を行うことにより、データの整理に結果の予断が影響を与えることを排除している。
あとはどこだろうねえ
34:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 16:17:00.89 ID:4bHAtu4G
103:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 17:50:01.79 ID:27dubz/K
>>13
やっとまともな記事が出ましたね。
立ち上がりと立ち下がりの図の赤い線はCERNの陽子ビーム
黒いエラーバーはニュートリノの検出でこの2つを比較した。
赤い線を左右の位置の精度がプラスマイナス6.9nsecということ
を言っている。直感的にはこんなことができるの?となる
統計処理とはこういうものだ。
やっとまともな記事が出ましたね。
立ち上がりと立ち下がりの図の赤い線はCERNの陽子ビーム
黒いエラーバーはニュートリノの検出でこの2つを比較した。
赤い線を左右の位置の精度がプラスマイナス6.9nsecということ
を言っている。直感的にはこんなことができるの?となる
統計処理とはこういうものだ。
132:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 18:26:43.23 ID:gvSxy2D0
31:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 16:13:47.60 ID:NVCtJLEk << 180
>>13
また、これらの測定は平均エネルギーが17GeVのニュートリノビームで行われたが、
28.1GeVのビームでの測定でも統計的に有意な差はなく、
速度のエネルギー依存性は認められないとしている。
ココ重要だよね
また、これらの測定は平均エネルギーが17GeVのニュートリノビームで行われたが、
28.1GeVのビームでの測定でも統計的に有意な差はなく、
速度のエネルギー依存性は認められないとしている。
ココ重要だよね
180:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 20:05:48.03 ID:I4rDb2r7
88:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 17:28:06.94 ID:liCymhpw << 263
>>13
>これらの測定は平均エネルギーが17GeVのニュートリノビームで行われたが、
>28.1GeVのビームでの測定でも統計的に有意な差はなく、速度のエネルギー依存性は認められない
(中略)
>超新星1987Aは16万8000光年の距離にあり、今回の測定の光とニュートリノの速度比率が正しいとすると、
>光の方がニュートリノより約4年遅れて届く計算となるが、実際はほぼ同時に届いており、今回の結果とは矛盾する。
>ただし、この時のニュートリノは10MeV程度と低エネルギーであり、17GeVと同じ速度とは断言できない。
どっちだよ
>これらの測定は平均エネルギーが17GeVのニュートリノビームで行われたが、
>28.1GeVのビームでの測定でも統計的に有意な差はなく、速度のエネルギー依存性は認められない
(中略)
>超新星1987Aは16万8000光年の距離にあり、今回の測定の光とニュートリノの速度比率が正しいとすると、
>光の方がニュートリノより約4年遅れて届く計算となるが、実際はほぼ同時に届いており、今回の結果とは矛盾する。
>ただし、この時のニュートリノは10MeV程度と低エネルギーであり、17GeVと同じ速度とは断言できない。
どっちだよ
263:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 23:27:20.21 ID:33tTTfKB
いま世界中の高名な物理学者はどういう気分で生活してるんだろうな。浮世離れして
災害や紛争に興味なさそうだが、学問的な問題は針小棒大に考える連中だろ。
これは素人目にみても歴史的な事件だからな。中学生が無修正ビデオ手に入れたより
興奮してるんだろうな。
災害や紛争に興味なさそうだが、学問的な問題は針小棒大に考える連中だろ。
これは素人目にみても歴史的な事件だからな。中学生が無修正ビデオ手に入れたより
興奮してるんだろうな。
95:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 17:41:52.59 ID:Wm9qGuXG
>>94
さすがにそれほどではないだろう
さすがにそれほどではないだろう
99: [—{}@{}@{}-] 名無しのひみつ 2011/09/26(月) 17:46:03.92 ID:TxU0w8rL
>>94
隣に引っ越してきたお姉さんが、中学生の頃に手に入れて何回も見た無修正ビデオに出演してた人っぽい、くらいは興奮してるんじゃないか
隣に引っ越してきたお姉さんが、中学生の頃に手に入れて何回も見た無修正ビデオに出演してた人っぽい、くらいは興奮してるんじゃないか
120:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 18:11:52.62 ID:y6fkATCo << 125
>>98
その半笑いの物理屋は自分が正しいって根拠あるもんなの? この研究やって
結論だしたオッサン等もただの無能集団のわけないのに、その物理屋って現段階で
議論して勝てるもんなの。理由もなく光が速いんだと確信して笑ってたらアホだけど
その半笑いの物理屋は自分が正しいって根拠あるもんなの? この研究やって
結論だしたオッサン等もただの無能集団のわけないのに、その物理屋って現段階で
議論して勝てるもんなの。理由もなく光が速いんだと確信して笑ってたらアホだけど
125: [—{}@{}@{}-] 名無しのひみつ 2011/09/26(月) 18:16:16.84 ID:TxU0w8rL
>>120
以前超新星からのニュートリノを観測したことがあって、その時はほぼ同時だった
もし今回と同じくらいニュートリノが速かったら、光より何年も先にニュートリノが届いてなきゃならないのにね
そういう根拠は一応ある。
だからこそCERNはデータだけ出して検証してくれつってるわけでね
以前超新星からのニュートリノを観測したことがあって、その時はほぼ同時だった
もし今回と同じくらいニュートリノが速かったら、光より何年も先にニュートリノが届いてなきゃならないのにね
そういう根拠は一応ある。
だからこそCERNはデータだけ出して検証してくれつってるわけでね
124:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 18:16:05.64 ID:YSjTEHzf << 134
>>98
いや、表向きは半笑いで絶賛傍観してるふりをして、まぁまぁとか言いながら。
1)よーしパパが間違いを見付けちゃうぞー
2)よーしママが新理論を展開しちゃうぞー
3)あたいが、今度のアインシュタインだー
4)ぼくが宇宙を決めるん宇宙を書くんだー
って、すんげー、ワクワクしてると思うよ。学者ってそういう人達。
いや、表向きは半笑いで絶賛傍観してるふりをして、まぁまぁとか言いながら。
1)よーしパパが間違いを見付けちゃうぞー
2)よーしママが新理論を展開しちゃうぞー
3)あたいが、今度のアインシュタインだー
4)ぼくが宇宙を決めるん宇宙を書くんだー
って、すんげー、ワクワクしてると思うよ。学者ってそういう人達。
134:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 18:27:52.14 ID:gvSxy2D0
>>124
いや多分、物理学会のとんだ恥さらしをしてくれた、ぐらいに思ってるともうよ。
いや多分、物理学会のとんだ恥さらしをしてくれた、ぐらいに思ってるともうよ。
超新星からのニュートリノの速さが云々って結構出てるけど
ニュートリノって全て同じ速さで動いてるの?
ニュートリノって全て同じ速さで動いてるの?
133:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 18:27:45.14 ID:NZ9IzbW1
127 名前:名無しのひみつ[] 投稿日:2011/09/26(月) 18:20:24.19 ID:PGDNEPwX
超新星からのニュートリノの速さが云々って結構出てるけど
ニュートリノって全て同じ速さで動いてるの?
129 名前:名無しのひみつ[] 投稿日:2011/09/26(月) 18:24:10.01 ID:6v50eaTy
>>127
今回の実験を信用するならそうなる
超新星からのニュートリノの速さが云々って結構出てるけど
ニュートリノって全て同じ速さで動いてるの?
129 名前:名無しのひみつ[] 投稿日:2011/09/26(月) 18:24:10.01 ID:6v50eaTy
>>127
今回の実験を信用するならそうなる
153:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 19:05:31.26 ID:2MQD5DmV
139:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 18:38:12.53 ID:PGDNEPwX << 194
>>129
0、今回の実験を信用すれば
1、ニュートリノは全て同じ速さで動く。その速さは光の速さ以上
2、超新星からのニュートリノは光の速さを越えない
1と2は矛盾する
よって仮定0は間違ってる。つまり今回の実験は信用できない
でいいの?
0、今回の実験を信用すれば
1、ニュートリノは全て同じ速さで動く。その速さは光の速さ以上
2、超新星からのニュートリノは光の速さを越えない
1と2は矛盾する
よって仮定0は間違ってる。つまり今回の実験は信用できない
でいいの?
194:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 20:23:11.57 ID:I4rDb2r7
>>139
ニュートリノは振動するのに同じ速さで動くっていうのは、ちょっと納得いかないなぁ。
ニュートリノは振動するのに同じ速さで動くっていうのは、ちょっと納得いかないなぁ。
既に多く引用されていますが、KEK野尻美保子教授のブログです。
【科学と報道の間で (ニュートリノの速度と光の速度)】
新しい実験データについての新聞・テレビ報道が研究者の間の「雰囲気」を伝えていないというのは、
たしかにあることなのだけど、今回ばかりは少し乖離が大きすぎるような気がするので、
久しぶりに素粒子物理の話をブログに書こうと思います。
OPERA は CERN から打ち出したニュートリノビームを、
730km離れたイタリアのグランサッソという地下実験施設でで受け止める実験です。
CERN から出るビームはミューオンニュートリノですが、
ニュートリノ振動があるので長距離を飛ぶ間にタウニュートリノに変化し、
これが測定器にあたる時にタウレプトンが出ます。この実験はそのタウレプトンを測ろうとするものです。
主要な測定器はエマルジョン(写真乾板)という名古屋大学が長く手がけてきた装置で、
日本の貢献が極めて大きいことでも知られています。
今回の発表はこのニュートリノ振動とは関係がなく、ニュートリノがグランサッソに到着する時間が、
光速 c よりも早いという測定結果でした。
結果のまとめをみるとニュートリノ速度 v と 光速とのずれが
(v-c)/c = (2.48 ± 0.28 (stat.) ± 0.30 (sys.)) ×10-5. となるとされています。
10万分の一程度のほんのわずかの違いです。
この実験データに対するコミュニティの反応は、少なくとも私の周辺では消極的なもので、
ずれがおこった実験的な原因を探すことが重要であるととらえられています。
実際、上述の測定結果では統計と系統誤差は十分押さえられていると主張されていますが、
実験グループの結果の報告では最後に
Despite the large significance of the measurement reported here and the stability of the analysis,
the potentially great impact of the result motivates the continuation of our studies
in order to investigate possible still unknown systematic effects that could explain
the observed anomaly. We deliberately do not attempt any theoretical or
phenomenological interpretation of the results.
と、さらに系統誤差を調べる必要性をいうとともに、結果の理論的、現象論的解釈をしないと
異例の断り書きをつけています。
また BBC の報道でも実験グループのメンバーである Antonio Ereditato が
「可能な解釈を探したが見つけることができず、間違いも発見されなかったので、
コミュニティにこの結果について議論して貰いたい。」さらに、
We want to be helped by the community in understanding our crazy result - because it is crazy"
「このおかしな結果を理解できるようにコミュニティの助けをお願いしたい。
なぜならこの結果は気違いじみているからだ」
と語ったようです。 Nature News によれば、CERN の中心的な研究者であった J. Ellis 発言として
Most troubling for OPERA is a separate analysis of a pulse of neutrinos
from a nearby supernova known as 1987a. If the speeds seen by OPERA were achievable
by all neutrinos, then the pulse from the supernova would have shown up years earlier
than the exploding star's flash of light; instead, they arrived within hours of each other.
"It's difficult to reconcile with what OPERA is seeing," Ellis says.
と 超新星 1987a の観測と OPERA の結果が矛盾する可能性を指摘しています。
超新星 1987a というのは1987年」におこった超新星爆発現象で、
このときに Kamiokande が超新星爆発からくるニュートリノととらえたことで有名です。
超新星爆発では爆発のエネルギーの大半がニュートリノとして放出されますが、
このときニュートリノがKamiokande で観測された時間が、超新星の光が観測された時間とほとんど変わず、
また13個のニュートリノがほぼ同時に地球に届いたことから、
ニュートリノの速度と光の速度の差に上限がついています。
これは、今回の実験精度にくらべて遥かに小さくなっています。(続く)
http://nojirimiho.exblog.jp/14626467/
【科学と報道の間で (ニュートリノの速度と光の速度)】
新しい実験データについての新聞・テレビ報道が研究者の間の「雰囲気」を伝えていないというのは、
たしかにあることなのだけど、今回ばかりは少し乖離が大きすぎるような気がするので、
久しぶりに素粒子物理の話をブログに書こうと思います。
OPERA は CERN から打ち出したニュートリノビームを、
730km離れたイタリアのグランサッソという地下実験施設でで受け止める実験です。
CERN から出るビームはミューオンニュートリノですが、
ニュートリノ振動があるので長距離を飛ぶ間にタウニュートリノに変化し、
これが測定器にあたる時にタウレプトンが出ます。この実験はそのタウレプトンを測ろうとするものです。
主要な測定器はエマルジョン(写真乾板)という名古屋大学が長く手がけてきた装置で、
日本の貢献が極めて大きいことでも知られています。
今回の発表はこのニュートリノ振動とは関係がなく、ニュートリノがグランサッソに到着する時間が、
光速 c よりも早いという測定結果でした。
結果のまとめをみるとニュートリノ速度 v と 光速とのずれが
(v-c)/c = (2.48 ± 0.28 (stat.) ± 0.30 (sys.)) ×10-5. となるとされています。
10万分の一程度のほんのわずかの違いです。
この実験データに対するコミュニティの反応は、少なくとも私の周辺では消極的なもので、
ずれがおこった実験的な原因を探すことが重要であるととらえられています。
実際、上述の測定結果では統計と系統誤差は十分押さえられていると主張されていますが、
実験グループの結果の報告では最後に
Despite the large significance of the measurement reported here and the stability of the analysis,
the potentially great impact of the result motivates the continuation of our studies
in order to investigate possible still unknown systematic effects that could explain
the observed anomaly. We deliberately do not attempt any theoretical or
phenomenological interpretation of the results.
と、さらに系統誤差を調べる必要性をいうとともに、結果の理論的、現象論的解釈をしないと
異例の断り書きをつけています。
また BBC の報道でも実験グループのメンバーである Antonio Ereditato が
「可能な解釈を探したが見つけることができず、間違いも発見されなかったので、
コミュニティにこの結果について議論して貰いたい。」さらに、
We want to be helped by the community in understanding our crazy result - because it is crazy"
「このおかしな結果を理解できるようにコミュニティの助けをお願いしたい。
なぜならこの結果は気違いじみているからだ」
と語ったようです。 Nature News によれば、CERN の中心的な研究者であった J. Ellis 発言として
Most troubling for OPERA is a separate analysis of a pulse of neutrinos
from a nearby supernova known as 1987a. If the speeds seen by OPERA were achievable
by all neutrinos, then the pulse from the supernova would have shown up years earlier
than the exploding star's flash of light; instead, they arrived within hours of each other.
"It's difficult to reconcile with what OPERA is seeing," Ellis says.
と 超新星 1987a の観測と OPERA の結果が矛盾する可能性を指摘しています。
超新星 1987a というのは1987年」におこった超新星爆発現象で、
このときに Kamiokande が超新星爆発からくるニュートリノととらえたことで有名です。
超新星爆発では爆発のエネルギーの大半がニュートリノとして放出されますが、
このときニュートリノがKamiokande で観測された時間が、超新星の光が観測された時間とほとんど変わず、
また13個のニュートリノがほぼ同時に地球に届いたことから、
ニュートリノの速度と光の速度の差に上限がついています。
これは、今回の実験精度にくらべて遥かに小さくなっています。(続く)
http://nojirimiho.exblog.jp/14626467/
276:名無しのひみつ 2011/09/27(火) 00:17:26.52 ID:3r45C5T+
>>16
様々な関連ソースの掘り出しと転載、乙です。
色んな人の言葉が聞けてとても興味深く、かつ勉強になるので助かります。
>>177
>新しい実験データについての新聞・テレビ報道が研究者の間の
>「雰囲気」を伝えていないというのは、たしかにあることなのだけど、
>今回ばかりは少し乖離が大きすぎるような気がする
今度のフィーバーを見てると、マスコミもネットも、世間はみんな
「夢を感じさせるニュース」に飛びつきたいんだろうなぁ、と思った。
誤差や検証の話題にとどまらず、もし万が一にも本当に新発見だったらていう所から
ワープとかタイムマシンとか妄想炸裂して、素人から専門家まで大いに語り合ってて
やっぱし最近は暗いニュースが多かったので「夢に飢えていた」のかなぁと感じる。
様々な関連ソースの掘り出しと転載、乙です。
色んな人の言葉が聞けてとても興味深く、かつ勉強になるので助かります。
>>177
>新しい実験データについての新聞・テレビ報道が研究者の間の
>「雰囲気」を伝えていないというのは、たしかにあることなのだけど、
>今回ばかりは少し乖離が大きすぎるような気がする
今度のフィーバーを見てると、マスコミもネットも、世間はみんな
「夢を感じさせるニュース」に飛びつきたいんだろうなぁ、と思った。
誤差や検証の話題にとどまらず、もし万が一にも本当に新発見だったらていう所から
ワープとかタイムマシンとか妄想炸裂して、素人から専門家まで大いに語り合ってて
やっぱし最近は暗いニュースが多かったので「夢に飢えていた」のかなぁと感じる。
211:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 20:41:48.36 ID:pOHKSFLK << 221
>>177
>ニュートリノの速度と光の速度の差に上限がついています。
>これは、今回の実験精度にくらべて遥かに小さくなっています。
だから、初速が超光速で即減衰する、ならいいわけだろ。
プロの物理屋なら即座に考慮に入れろよ。
あるいはこんなんだって考えられるだろう。
あらゆる素粒子の崩壊・生成相互作用、直後には一瞬超光速で粒子が動く。
が、クォークや電子は重さもあるので、その効果は10の10乗分の1以下とかで観測に全く掛からない。
ニュートリノの場合は軽いやらの理由で効果が大きく出、今回のように10の5乗分の1程度の到達時間差となって現れた。
>ニュートリノの速度と光の速度の差に上限がついています。
>これは、今回の実験精度にくらべて遥かに小さくなっています。
だから、初速が超光速で即減衰する、ならいいわけだろ。
プロの物理屋なら即座に考慮に入れろよ。
あるいはこんなんだって考えられるだろう。
あらゆる素粒子の崩壊・生成相互作用、直後には一瞬超光速で粒子が動く。
が、クォークや電子は重さもあるので、その効果は10の10乗分の1以下とかで観測に全く掛からない。
ニュートリノの場合は軽いやらの理由で効果が大きく出、今回のように10の5乗分の1程度の到達時間差となって現れた。
重力理論を変更すると、大きな速度のずれが許される場合もあるという研究もあり、
詳細が書かれたブログもあるようですが、そのブログの元となる論文の著者である Ellis 氏自体が
上述の懐疑的なコメントをだしていることからわかるように、実験、理論ともに
多くの人がこの結果にたいして大変慎重です。
懐疑的な発言が多くなるのには、重力理論は宇宙の初期から現在にいたるまでの発展に関わる基本理論で、
すでに多くの観測の結果によって支持されており大きな変更を行うことが難しいからでしょう。
昨日のCERN でのセミナーは私の周辺でも多くの人が見ていて、
解析の問題点探しがすでに始まっていました。
解析と実際との齟齬が起こりうる可能性があるのは、実データで制限されていない部分です。
そのなかの一つにこの実験がCERN 周辺でのニュートリノの時間分布を測定していない
という点が挙げられるようです。
CERN 側では陽子ビームが加速器から取り出された時の時間情報をセンサーで電流に変換
して測定しています。この陽子ビームがターゲットに当たってパイオンをつくり、
さらに崩壊してニュートリノができます。
しかしどのようなニュートリノがCERN からでたかという直接的な情報がありません。
CERN側で測定した陽子ビームの時間分布が、
CERNから送り出したニュートリノビームの時間分布と等しいと仮定し、
グランサッソで検出されたニュートリノ事象の時間分布と比較します。
どちらの時間分布も、ビームの幅10.5マイクロ秒の矩形に近い形をしており、
互いにどのくらい時間をずらせば、その両者の分布がちょうど重なるかを解析します。
その際、CERN側の陽子ビームの矩形の立ち上がりの形と立下りの形、
そしてそれが反映されるニュートリノビームの形を正確に知らないと、解析を間違えることになります。
さて、「コミュニティが理解を助ける」といっても、実験の詳細を知らない
グループ外の研究者が実験の間違いを見つけるのは大変なことです。
MINOS や T2K といった同じ長基線ニュートリノ実験もありますが、
それぞれ実験条件や加速器の性能は異なります。
新たな実験を設計するのであれば、OPERA 実験で系統誤差の原因となりうる要因が明らかになり、
それを確実に克服できるセットアップが要求されるでしょう。
当面は OPERA グループ内で、コミュニティからの意見を受けて
されに詳細な解析が進められることを期待したいと思います。
いずれにしても、疑問に感じるのはい一部大手メディアの報道姿勢です。
ネタとしての会話としてならともかく、「これが本当だとしたら、時間を逆に進むことができる」
「アインシュタインの相対性理論を覆す」といった表現が使われ、実験自体が複雑な解析を要し、
またその中でミスが入り込みうるという我々の共通認識が意図的に無視されているように感じます。
しばらく報道合戦が続くのかもしれませんが、実験の内容や、
研究者の受け止め方が伝わる報道をお願いしたいと思います。
詳細が書かれたブログもあるようですが、そのブログの元となる論文の著者である Ellis 氏自体が
上述の懐疑的なコメントをだしていることからわかるように、実験、理論ともに
多くの人がこの結果にたいして大変慎重です。
懐疑的な発言が多くなるのには、重力理論は宇宙の初期から現在にいたるまでの発展に関わる基本理論で、
すでに多くの観測の結果によって支持されており大きな変更を行うことが難しいからでしょう。
昨日のCERN でのセミナーは私の周辺でも多くの人が見ていて、
解析の問題点探しがすでに始まっていました。
解析と実際との齟齬が起こりうる可能性があるのは、実データで制限されていない部分です。
そのなかの一つにこの実験がCERN 周辺でのニュートリノの時間分布を測定していない
という点が挙げられるようです。
CERN 側では陽子ビームが加速器から取り出された時の時間情報をセンサーで電流に変換
して測定しています。この陽子ビームがターゲットに当たってパイオンをつくり、
さらに崩壊してニュートリノができます。
しかしどのようなニュートリノがCERN からでたかという直接的な情報がありません。
CERN側で測定した陽子ビームの時間分布が、
CERNから送り出したニュートリノビームの時間分布と等しいと仮定し、
グランサッソで検出されたニュートリノ事象の時間分布と比較します。
どちらの時間分布も、ビームの幅10.5マイクロ秒の矩形に近い形をしており、
互いにどのくらい時間をずらせば、その両者の分布がちょうど重なるかを解析します。
その際、CERN側の陽子ビームの矩形の立ち上がりの形と立下りの形、
そしてそれが反映されるニュートリノビームの形を正確に知らないと、解析を間違えることになります。
さて、「コミュニティが理解を助ける」といっても、実験の詳細を知らない
グループ外の研究者が実験の間違いを見つけるのは大変なことです。
MINOS や T2K といった同じ長基線ニュートリノ実験もありますが、
それぞれ実験条件や加速器の性能は異なります。
新たな実験を設計するのであれば、OPERA 実験で系統誤差の原因となりうる要因が明らかになり、
それを確実に克服できるセットアップが要求されるでしょう。
当面は OPERA グループ内で、コミュニティからの意見を受けて
されに詳細な解析が進められることを期待したいと思います。
いずれにしても、疑問に感じるのはい一部大手メディアの報道姿勢です。
ネタとしての会話としてならともかく、「これが本当だとしたら、時間を逆に進むことができる」
「アインシュタインの相対性理論を覆す」といった表現が使われ、実験自体が複雑な解析を要し、
またその中でミスが入り込みうるという我々の共通認識が意図的に無視されているように感じます。
しばらく報道合戦が続くのかもしれませんが、実験の内容や、
研究者の受け止め方が伝わる報道をお願いしたいと思います。
197:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 20:25:13.58 ID:27dubz/K
184:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 20:10:30.39 ID:EB4IQ/6x << 265
265:名無しのひみつ 2011/09/26(月) 23:32:14.73 ID:SjG1JERK
200:すわきちφφ ★ 2011/09/26(月) 20:26:30.92 ID:??? << 221
もう一つ投下して、ちょっと休みます。
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カリフォルニア工科大学 大栗 博司教授ブログ
光よりも速く(一部)
部門長が現れて、「ニュートリノが光より速いって聞いたかい。」と言います。
持っているのはニューヨーク・タイムズ紙の記事。
速報論文や研究所のプレスリリースでないところが普通ではありません。
「CERNからグランサッソに打ったニュートリノが60ナノ秒早く着いたって言うんだ。」
「誤差はどのくらいですか。」
「10ナノ秒と書いてある。」
「距離にして3メートルか。GPSを使えば可能ですね。」
後で聞いた話では、他にも誤差の因子があるので、
距離については20センチメートル程度の精度が必要だそうです。
「超新星1987Aまでの距離ってどのくらいでしょうか。」
1987年に観測された超新星Aからのニュートリノは、可視光が地球に届く約3時間前に、
カミオカンデなどで観測されています。
超新星爆発の理論によると、ニュートリノは可視光の数時間前に発せられることになっているので、
光とニュートリノの速さがほぼ同じだとしても矛盾はありません。
この観測に対して小柴昌俊さんがノーベル賞を受賞されたことはよく知られています。
「大マゼラン星雲にあるから、16万光年ぐらいだな。」
部門長は天体物理学者です。
「CERNからグランサッソまで700キロメートルとすると、
これだけ走って18メートル(=光速×60ナノ秒)の差がついたということは、
16万光年走ると4年ぐらい差がつきますね。」
「ニュートリノの速さがエネルギーに依存するということも考えられるんじゃないのか。」
「今回の実験で、エネルギー依存性は測っているのでしょうか。」
「ひとつのビームの長さはどのくらいでしょうか。」
「さて、(Caltechの)MINOS実験の人たちにでも聞いてみるか。」
後で聞いてみると、ビームの長さは3キロメートルぐらいだそうです。
誤差3メートルの1000倍なので、ビームの形がしっかりわかっている必要があります。
カリフォルニア時間の金曜日の朝には、CERNで実験グループによるセミナーがありました。
私もライブビデオで拝見して、質疑応答の時間にはツィッターで実況しました。
質疑の最初には、ノーベル賞受賞者であるサム・ティンさんが手を上げて、
「非常に注意深くなされた実験である。」と賞賛していました。
GPSでの位置情報を地下の実験施設まで延長する際の不定性、
月の位置との関係や、潮汐力による地殻の動き。
また、CERNとグランサッソの施設の高度の違いのために、
一般相対論の効果で時間の進みかたにずれが起こる可能性など、
さまざまな方面から質問が出ましたが、講演者はその一つひとつに丁寧に答えていました。
しかし、ビームの形の不定性については、疑問が残りました。
このような議論を通じて、アインシュタインの相対性論が間違っているのではないかとか、
タイムトラベルが可能になるのではないかという話はまったく出てきません。
カール・セーガンが言ったように「法外な主張は、法外な証拠を必要とする」ので、
「ニュートリノが光より速い」という主張に接したときに 科学者は、
まず誤差の評価や解析がどのように行われたかを理解しようとします。
http://planck.exblog.jp/16894606/
---
カリフォルニア工科大学 大栗 博司教授ブログ
光よりも速く(一部)
部門長が現れて、「ニュートリノが光より速いって聞いたかい。」と言います。
持っているのはニューヨーク・タイムズ紙の記事。
速報論文や研究所のプレスリリースでないところが普通ではありません。
「CERNからグランサッソに打ったニュートリノが60ナノ秒早く着いたって言うんだ。」
「誤差はどのくらいですか。」
「10ナノ秒と書いてある。」
「距離にして3メートルか。GPSを使えば可能ですね。」
後で聞いた話では、他にも誤差の因子があるので、
距離については20センチメートル程度の精度が必要だそうです。
「超新星1987Aまでの距離ってどのくらいでしょうか。」
1987年に観測された超新星Aからのニュートリノは、可視光が地球に届く約3時間前に、
カミオカンデなどで観測されています。
超新星爆発の理論によると、ニュートリノは可視光の数時間前に発せられることになっているので、
光とニュートリノの速さがほぼ同じだとしても矛盾はありません。
この観測に対して小柴昌俊さんがノーベル賞を受賞されたことはよく知られています。
「大マゼラン星雲にあるから、16万光年ぐらいだな。」
部門長は天体物理学者です。
「CERNからグランサッソまで700キロメートルとすると、
これだけ走って18メートル(=光速×60ナノ秒)の差がついたということは、
16万光年走ると4年ぐらい差がつきますね。」
「ニュートリノの速さがエネルギーに依存するということも考えられるんじゃないのか。」
「今回の実験で、エネルギー依存性は測っているのでしょうか。」
「ひとつのビームの長さはどのくらいでしょうか。」
「さて、(Caltechの)MINOS実験の人たちにでも聞いてみるか。」
後で聞いてみると、ビームの長さは3キロメートルぐらいだそうです。
誤差3メートルの1000倍なので、ビームの形がしっかりわかっている必要があります。
カリフォルニア時間の金曜日の朝には、CERNで実験グループによるセミナーがありました。
私もライブビデオで拝見して、質疑応答の時間にはツィッターで実況しました。
質疑の最初には、ノーベル賞受賞者であるサム・ティンさんが手を上げて、
「非常に注意深くなされた実験である。」と賞賛していました。
GPSでの位置情報を地下の実験施設まで延長する際の不定性、
月の位置との関係や、潮汐力による地殻の動き。
また、CERNとグランサッソの施設の高度の違いのために、
一般相対論の効果で時間の進みかたにずれが起こる可能性など、
さまざまな方面から質問が出ましたが、講演者はその一つひとつに丁寧に答えていました。
しかし、ビームの形の不定性については、疑問が残りました。
このような議論を通じて、アインシュタインの相対性論が間違っているのではないかとか、
タイムトラベルが可能になるのではないかという話はまったく出てきません。
カール・セーガンが言ったように「法外な主張は、法外な証拠を必要とする」ので、
「ニュートリノが光より速い」という主張に接したときに 科学者は、
まず誤差の評価や解析がどのように行われたかを理解しようとします。
http://planck.exblog.jp/16894606/
(>> ソース)
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